この記事の結論
- 判断の基準は見た目ではなく、倒れたときにそこに人がいるかどうか。
- 道路の反対側から見て、傾き・縦のひび・さび汁・ぐらつき・控壁の有無を確認する。
- 危険なら「全部撤去」「高さを下げる」「作り直す」の3つ。撤去の補助制度は自治体ごとに違い、着工前の申請が必要な場合が多い。
古いブロック塀は、倒れるまで問題として認識されません。 傾いていても、ひびが入っていても、日々の生活には支障がないからです。
しかし、塀は倒れる方向を選べません。 そして道路に面していれば、そこには人が通ります。
判断の基準は、見た目ではありません。倒れたときに、そこに人がいるかどうかです。
自分でできる点検
道路の反対側から見てください。 塀のすぐ横に立つと、傾きは分かりません。
- 電柱や建物の柱と見比べる — 垂直から傾いていないか
- ひび割れがあるか — 特に縦方向のひび
- さび汁が出ていないか — 内部の鉄筋が錆びている可能性
- 手で押して、ぐらつかないか
- 目地が崩れていないか
- 控壁があるか — 高さがある塀に、直角に突き出した壁があるか
3番目が重要なサインです。 茶色い筋が流れた跡は、内部の鉄筋が錆びて膨張している可能性を示します。鉄筋が錆びると、塀の強度が落ちます。
6番目も確認してください。 高さのある塀に控壁がない場合、横からの力に弱くなります。
去年と同じなら急ぎませんが、ひびが増えている、傾きが進んでいるなら早めに見てもらってください。
写真を撮って日付とともに残しておくと、比較できます。
現行の基準と照らす
補強コンクリートブロック造の塀には、建築基準法施行令で基準が定められています。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 高さ | 2.2m以下 |
| 壁の厚さ | 15cm以上(高さ2m以下の塀は10cm以上) |
| 控壁 | 高さ1.2m超の場合、3.4m以下ごとに設ける |
| 基礎 | 高さ1.2m超の場合、丈35cm以上・根入れ30cm以上 |
| 鉄筋 | 径9mm以上を縦横80cm以下の間隔で配置 |
古い塀は、この基準を満たしていないことがあります。 建てた当時は適法だったものが、その後の改正で適合しなくなった状態を既存不適格といいます。
この状態にあることをもって、直ちに撤去を求められるわけではありません。 ただし、危険であることに変わりはありません。
そして、建て替えなど申請を伴う工事を行う場合は、現行の基準に合わせる必要が生じます。
危険だと判断したら
選択肢は3つあります。
| 対処 | 内容 |
|---|---|
| 全部撤去する | 最も確実。代わりに軽いフェンスなどを設ける |
| 高さを下げる | 上部を撤去し、低い塀として残す |
| 作り直す | 現行の基準を満たす形で造り替える |
2番目が、費用と安全のバランスが取りやすい方法です。 上部を撤去して低くし、必要なら軽量なフェンスを載せるという形になります。目隠しの機能も残せます。
撤去した後、何を置くかも同時に考えてください。 何もなくなると、境界が分かりにくくなり、視線も通ります。
- アルミフェンス(軽く、風を通す)
- 生垣(圧迫感がない。手入れが要る)
- 低い塀+フェンス
自治体の補助制度
危険なブロック塀の撤去について、補助制度を設けている自治体があります。
過去の地震でブロック塀の倒壊による被害があったことを受け、多くの自治体が制度を用意しています。
- 対象になる塀の条件(高さ、道路に面しているかなど)
- 補助の割合と上限
- 申請の時期と手続き
内容は自治体ごとに違います。 お住まいの自治体の建築や防災の窓口で確認してください。
重要なのは、着工前に申請が必要な場合が多いという点です。 工事を終えてから申請しても対象にならないことがあります。先に確認してください。
東京23区と、横浜市・川崎市・さいたま市・千葉市などの制度は「ブロック塀撤去の補助金・助成金一覧」にまとめています。
隣家との関係を先に確認する
- その塀が、自分の所有物か(隣家のもの、または共有の可能性)
- 境界標の位置
- 塀が土を支えていないか(擁壁の役割を兼ねていないか)
- 撤去後、隣地との高低差がどうなるか
- 隣家に、事前に説明したか
3番目が最も危険な見落としです。 塀に見えても、実際には土を支えていることがあります。撤去すると地面が崩れます。
段差のある場所の塀は、必ず確認してください。 塀と擁壁の区別は、別記事で扱っています。
1番目も同様です。 共有の塀であれば、双方の合意なしに撤去できません。
費用は「壊して運ぶ」分がかかる
新築の外構と違い、リフォームには撤去と処分の工程が先に入ります。
- 塀を壊す作業
- 出た廃材を運び出す
- 処分する
- 基礎まで撤去するか、残すか
4番目で費用が変わります。 地中の基礎まで撤去するか、地際で切って残すか。後に何を作るかで決まります。
※ 本記事は一般的な整理です。安全性の判断には専門家の確認が必要です。倒壊の恐れがある場合は、早めにご相談ください。
ブロック塀を撤去してフェンスに替える工事の価格の目安と施工事例は、フェンス工事のページでご紹介しています。
ひびや傾きがある塀を、補修で済ませるか撤去するかの判断と費用の目安は、ブロック塀のひび・傾き・欠けの修理のページでご紹介しています。
ブロック塀の撤去・修理・補修については、ブロック塀工事のページで価格の目安と施工事例をご紹介しています。
付録:本記事で使用した専門用語一覧
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| 補強コンクリートブロック造 | 鉄筋を入れて補強したコンクリートブロックの構造。 |
| 控壁 | 塀が倒れないように、直角方向へ突き出して設ける壁。 |
| 根入れ | 基礎を地中に埋め込む深さ。 |
| さび汁 | 内部の鉄筋が錆びて、表面へ流れ出した茶色い跡。 |
| 既存不適格 | 建てた当時は適法だったが、その後の法改正で現行基準に合わなくなった状態。 |
| 擁壁 | 高低差のある敷地で、土が崩れるのを防ぐために設ける壁。 |
| 境界標 | 隣地との境目を示す杭や金属プレート。 |
