この記事の結論
- ブロックの上にフェンスを立てる場合は、倒れないかを考えるときに、ブロックと合わせた高さで見る。
- 目隠しの度合いを上げるほど風を受けるので、支柱と基礎の仕様を上げる必要がある。
- 選ぶ順番は「何を隠すか → 高さ → 構造 → 目隠しの度合い → 素材と色」。
フェンスはカタログで選べる製品ですが、ブロック塀の上に立てるなら、下の塀には法令上の基準があります。 そして、目隠しの度合いを上げるほど、風を受ける面が大きくなります。
見た目だけで選ぶと、この2つで詰まります。
素材の選択
| 素材 | 特徴 |
|---|---|
| アルミ形材 | 錆びにくく、手入れが少ない。最も一般的 |
| 樹脂木(人工木) | 木の質感。腐らないが、熱を持ちやすい |
| スチールメッシュ | 安価で見通しがよい。目隠しにはならない |
| 天然木 | 質感がよいが、定期的な塗装と交換が要る |
天然木は、手入れを続けられるかで判断してください。 数年ごとの塗装が前提です。それを楽しめるなら良い選択ですが、負担になるなら樹脂木のほうが現実的です。
目隠しの度合い
「隠す」と「風を通す」は反比例します。
- ルーバー・目隠し格子 — 角度をつけた板。視線を遮りつつ風は通す
- 多段柱・スリット — 隙間を残す。半分程度隠れる
- パネル(板を隙間なく張る) — 完全に隠れる。風をまともに受ける
最後の形が、最も注意が要ります。 面で風を受けるため、支柱と基礎の仕様を上げる必要があります。 同じ製品でも、目隠しタイプは支柱の間隔を狭める指定があることがあります。
強風で倒れるフェンスは、たいてい「後から目隠しを足した」ものです
既存のフェンスに板やシートを張ると、設計時に想定していない風圧がかかります。
目隠しを追加するときは、支柱と基礎が耐えられるかを確認してください。
ブロックの上に立てるときの高さ
ブロックを積んだ上にフェンスを立てる場合は、ブロックとフェンスを合わせた高さで考えてください。 フェンスの支柱はブロックに立てるので、フェンスが受ける風の力も、下のブロック塀が支えることになります。倒れないかを考えるときは、ブロック部分だけでなく、上のフェンスまで含めた全体で見ます。
鉄筋で補強したブロック塀(補強コンクリートブロック造の塀)については、建築基準法施行令第62条の8で、次の基準が定められています(構造計算で安全が確かめられた場合を除く)。高さ1.2m以下の塀には、控壁と基礎の定めは適用されません。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 高さ | 2.2m以下 |
| 壁の厚さ | 15cm以上(高さ2m以下の塀は10cm以上) |
| 控壁 | 高さ1.2m超の場合、3.4m以下ごとに設ける |
| 基礎 | 高さ1.2m超の場合、丈35cm以上・根入れ30cm以上 |
| 鉄筋 | 径9mm以上を縦横80cm以下の間隔で配置 |
(出典:建築基準法施行令 第62条の8、2026-10-23 確認)
第62条の8の条文には、高さをどこから測るかや、塀の上に立てたフェンスを高さに含めるかどうかは書かれていません。道路側と敷地側で地盤面の高さが違う場所では、どちらから見るかで塀の高さが変わります。高低差のある場所や、ブロックの上にフェンスを足す場合は、計画の段階で自治体の建築の窓口に確認してください。
控壁は、高さ1.2mを超えると必要になります。 見た目のために省くことはできません。
なお、古い塀は現行の基準に適合していないことがあります。 建てた当時は適法だったものが、その後の改正で適合しなくなった状態です。ただし、新築や建て替えで申請を伴う工事を行う場合は、塀も現行の基準に合わせる必要が生じます。
隣家との関係
フェンスは境界に近い場所に立てます。だから、隣家との調整が必要になることがあります。
- 境界の位置が、杭や境界標で確認できるか
- 既存の塀が、どちら側の所有物か(共有の場合もある)
- 基礎が隣地へはみ出さないか
- フェンスの影が、隣家の庭にかかりすぎないか
- 工事のとき、隣地へ立ち入る必要があるか
2番目は特に注意してください。 既存の塀が隣家のものだった場合、勝手に触ることはできません。共有になっている場合は、撤去も改修も双方の合意が要ります。
工事の前に、隣家へ一声かけておくことをお勧めします。境界に接する工事は、後から関係がこじれやすい部分です。
費用は「長さ」で決まる
フェンスは延長に比例します。囲う範囲を減らせば、そのまま費用が下がります。
だから、必要な方向だけに設けるという判断が効きます。道路から見える面、隣家の窓と向き合う面。そこだけ目隠しにして、残りは低いメッシュにする、あるいは何も設けない。
全周を同じ仕様にする必要はありません。
選ぶときの順序
1. どの方向から、何を隠したいのかを現地で確認する2. 必要な高さを決める(立って見たときの視線の高さで判断)3. その高さで、基準を満たす構造を確認する4. 風の条件を踏まえて、目隠しの度合いを決める5. そのうえで素材と色を選ぶ
5番目が最後です。 カタログから入ると、この順序が逆になります。
※ 本記事は一般的な整理です。基準の適用は敷地の条件によって変わります。詳細は管轄の窓口にご確認ください。
目隠しフェンスの新設・修理・交換の価格の目安と施工事例は、フェンス工事のページでご紹介しています。
今あるフェンスがぐらつく・傾いた・壊れたときの修理と費用の目安は、フェンスのぐらつき・傾き・破損の修理のページでご紹介しています。
ご自宅の写真にフェンスを置いて、色や高さを試せる外構シミュレーターもあります。
付録:本記事で使用した専門用語一覧
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| ルーバー | 角度をつけた羽根板を並べた構造。視線を遮りつつ通風する。 |
| アルミ形材 | 押し出し成形したアルミの部材。錆びにくい。 |
| 樹脂木・人工木 | 樹脂と木粉を混ぜた建材。腐りにくく手入れが少ない。 |
| 控壁 | 塀が倒れないように、直角方向へ突き出して設ける壁。 |
| 根入れ | 基礎を地中に埋め込む深さ。 |
| 地盤面 | 塀や建物が接する地面の高さ。 |
| 既存不適格 | 建てた当時は適法だったが、その後の法改正で現行基準に合わなくなった状態。 |
| 境界標 | 隣地との境目を示す杭や標識。 |
