外構の相談で、施主から排水の話が出ることはほとんどありません。カーポートやフェンスと違って、目に見えないからです。
しかし、住んでから最も後悔が多く、最も直しにくいのが排水です。舗装をやり直さないと直せません。
舗装は、水を止める工事でもある
土の地面は水を吸います。降った雨はその場で地中へ浸透し、問題になりません。
舗装すると、これが止まります。 コンクリートもタイルも水を通しません。降った雨はすべて表面を流れることになります。
つまり、舗装の面積を増やすということは、行き場のない水を増やすということです。この水をどこへ流すかを、舗装と同時に決める必要があります。
勾配がなければ、水は溜まる
水は傾きに沿って流れます。平らに仕上げると、水は動かず、その場に溜まります。
「平らに見える」仕上げにも、実際には傾きが付いています。目で見て分からない程度の傾きで、水は流れます。逆に言えば、傾きが足りないと水たまりになるということです。
- 全体を水平に近く仕上げ、あちこちに水たまりができた
- 傾きの向きを間違え、建物側へ水が流れた
- 隣地へ向かって傾き、雨のたびに隣家へ流れ込んだ
- 道路へ流れ出し、通行の妨げになった
- 集めた水の出口がなく、一箇所に溜まるだけになった
2番目は建物の基礎まわりに水を集めることになります。 湿気の原因になり、長い目で見て建物に良くありません。
3番目と4番目は、近隣トラブルに直結します。 自分の敷地に降った雨を、隣や道路へ流し込む形になるためです。
水をどこへ流すか
流す先には、いくつかの選択肢があります。敷地の条件で選べるものが決まります。
| 行き先 | 内容 |
|---|---|
| 雨水桝・排水管 | 敷地内の桝に集め、公共の排水へつなぐ |
| 浸透桝・浸透トレンチ | 地中へ浸透させる。地盤の条件による |
| 側溝 | 道路の側溝へ流す。自治体の扱いを確認する |
| 緑地・砂利 | 舗装しない部分を残し、そこで浸透させる |
建物の雨樋がどこへつながっているかを、まず確認してください。 建物側で既に雨水の経路が作られています。外構の水も、その系統に合わせるのが基本です。
浸透は地盤によります。 水を通しにくい土質では、浸透桝を入れても機能しません。粘土質の地盤では特に注意が必要です。
なお、自治体によっては雨水の流出を抑える指導や制度があります。浸透施設の設置を求められる地域もあるため、計画の段階で確認してください。
舗装しない部分を残すという設計
最も確実で、費用もかからない方法がこれです。
敷地の一部を土や砂利、植栽のまま残せば、そこが水を吸います。 全面を舗装しなければ、そもそも流す水が減ります。
- 駐車場のタイヤが通る部分だけを舗装する
- 建物まわりに砂利の帯を残す
- 庭の一部を植栽にする
見た目のために全面を舗装したくなりますが、水の面では不利になります。 バランスを取ってください。
集中豪雨をどう考えるか
近年は、短時間に大量に降ることが増えています。通常の雨で問題がなくても、豪雨では溢れることがあります。
完全に対応するのは現実的ではありませんが、溢れたときにどこへ流れるかを考えておくことはできます。
- 溢れた水が、玄関の中へ入らない高さになっているか
- 溜まるとしたら、どこか
- 建物側ではなく、敷地の外側へ向かうか
玄関の土間の高さは、後から変えられません。 道路より低い敷地では、この点を計画の最初に確認してください。
排水は、床を決めるときに同時に決める
床の仕上げを選んだ後に排水を考えると、勾配を後から付けられません。
順序はこうです。
1. 水の行き先を決める(既存の雨水系統、浸透の可否)2. 勾配の向きを決める(どこへ向かって傾けるか)3. 舗装する範囲を決める(浸透する面を残すか)4. そのうえで、床の仕上げを選ぶ
4番目が最後です。 逆にすると、見た目は良くても水が溜まる外構になります。
※ 本記事は一般的な整理です。適した排水の方法は、敷地の地盤・周囲の状況・自治体の定めによって変わります。
付録:本記事で使用した専門用語一覧
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| 勾配 | 水を流すためにつける傾き。 |
| 雨水桝 | 雨水を集めて排水管へ流すために設ける桝。 |
| 浸透桝 | 集めた水を地中へ浸透させる構造の桝。 |
| 浸透トレンチ | 地中に設けた溝から水を浸透させる設備。 |
| 側溝 | 道路の脇に設けられた排水路。 |
| 雨樋 | 建物の屋根に降った雨を集めて流す設備。 |
| 土間 | 玄関などの、地面に接した床。 |
