複数の業者から見積を取る。当然の手順に思えますが、やり方を間違えると「比較できない見積が3枚集まる」という結果になります。
比較の成否は、依頼した時点で決まっています。 集まってから揃えることはできません。
何社に依頼するか
3社が目安です。 2社では判断の基準が作れず、4社以上は調整の手間が見合いません。
外構では、それぞれの業者が個別に現地調査を行います。 社数だけ立ち会いの機会が必要になるため、日程の負担も考えてください。
引渡し日が決まっている場合、この日程確保が現実的な制約になります。 早めに動いてください。
全社に同じものを渡す
ここが最も重要です。 渡す資料が違えば、前提の違う見積が返ってきます。
| 渡すもの | なぜ必要か |
|---|---|
| 配置図・平面図 | 建物と敷地の関係が分かる |
| 測量図 | 境界の位置が分かる |
| ハウスメーカーの外構見積 | 比較の基準になる |
| やりたいこと・やらないことの整理 | 範囲を揃える |
| 希望する引渡し日 | 工程の前提を揃える |
3番目は、遠慮せず見せてください。 「同じ内容でいくらになるか」を出してもらうのが、最も比較しやすい形です。
4番目が抜けると、範囲がばらつきます。 「駐車場とアプローチは必須、庭は今回やらない」といった線引きを、同じ言葉で伝えてください。
「何をしたいか」より「何が困っているか」を伝えるほうが、提案は具体的になります。
ただし、困りごとの内容は全社に同じように伝えてください。
返ってきた見積を、そのまま比べない
金額を並べる前に、前提が同じかを確認します。
- 舗装する範囲が、全社で一致しているか
- 残土の処分が含まれているか
- 部材のグレードが同等か
- 屋外の電気・給排水の工事が入っているか
- 既存の撤去と処分が含まれているか(リフォームの場合)
- 諸経費に何が入っているか
- 税込か税抜か
1番目と2番目が、外構で最も差が出る部分です。
「土のまま残す範囲」が業者によって違えば、金額も違って当然です。安い見積が、単に範囲の狭い見積だったということが起こります。
揃えるための実務
最も確実なのは、1社に現地を見てもらい、撤去や舗装の範囲を図面に落としてもらうことです。
その図面を他社にも渡せば、全社が同じ範囲で見積を出します。
図面を作ってもらった会社に発注する義務はありません。ただし、その手間には価値があります。 最終的な判断材料に含めてよい部分です。
価格以外に見るもの
同じ条件で揃えたうえで、次を見てください。金額が近い場合、こちらのほうが結果に効きます。
- 現地調査で、高低差を実測したか
- 水の行き先を説明したか
- 見積に含まれない項目を、自分から挙げたか
- 建ぺい率や申請の要否に触れたか(カーポートがある場合)
- 工期の幅と、天候の影響を説明したか
3番目が最も分かりやすい指標です。 含まれないものを自分から言えるのは、範囲を把握している証拠です。
「何でもできます」と言う業者は、まだ何も見ていない可能性があります。
値引き交渉について
他社の金額を伝えて値引きを求めるのは、勧めません。
その金額に合わせた見積が出てくるだけで、内訳の精度は上がりません。 どこかが削られている可能性が残ります。
交渉するなら、範囲と仕様で調整してください。
- 舗装する面積を減らす
- 部材のグレードを見直す
- 今回やらない部分を決める
- 工期に余裕を持たせる
これなら、何が変わったかが分かります。 金額だけを下げると、何が減ったのか分からないまま契約することになります。
断り方
選ばなかった業者には、連絡してください。 現地調査とプラン作成に時間をかけてもらっています。
理由を詳しく説明する必要はありません。「他社に決めました」で十分です。 曖昧にしたまま連絡を絶つより、はるかに良い形です。
※ 本記事は一般的な整理です。進め方は状況によって変わります。
付録:本記事で使用した専門用語一覧
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| 相見積もり | 複数の業者から見積を取り、比較すること。 |
| 配置図 | 敷地の中で建物がどこに建つかを示した図面。 |
| 測量図 | 敷地の形状と境界の位置を測って示した図面。 |
| 残土 | 掘削によって発生し、現場の外へ運び出す必要のある土。 |
| 諸経費 | 現場管理費など、直接の作業以外にかかる費用。 |
| 建ぺい率 | 敷地面積に対して建築できる面積の割合。 |
